CROSS
TALK
地域に親しまれた料亭の跡地に築く新たなレジデンス。
この地の持つ価値をどのように捉え、建物設計、ランドスケープデザイン、空間づくりに活かしていくか。
全体計画に携わった担当者が、プロジェクトに込めた思いやポイントについて語ります。
未来へ向かって力強く進む枚方市。
変化し移ろう景色とともに、
より優雅な暮らしを。
進化し続ける街の、
その先の風景にも思いを巡らせながら、
建物にどのような表情を与え、
個性を創り出していくか。
目指したのは、住まう人の矜持となるだけでなく、
街の新たな憧憬となる意匠性の高いデザインです。
建物の垂直ラインを強調する
力強く直立した木調ルーバー。
外観に奥行きのある表情を与える
水平方向の特徴的な造形。
創意に満ちた美の試みは、
緑溢れる⽊々の⾵景と相俟って
本レジデンスの邸宅感を豊かに演出します。
「優雅」「移ろい」をキーワードに。
松本
枚方のこの地は、街と住宅の境目といえるかもしれません。進化する都市の躍動と豊かな自然を間近に享受しながらゆったりとした空気感の中に住まう、ちょうどいいバランス感を感じます。また、この場所は、地域の人々にとっては日本料理「ひらかた仙亭」があった愛着のある場所です。そこで建物としては、名亭の趣、和の印象を残すことを意識し、プランを練っていきました。かつてあった緑景への愛着も大切にしたく、住まう方にはもちろん、地域の人々にも緑を多く感じていただけるよう植栽計画にもこだわりました。
今江
この場所の立地特長、来歴を知り、枚方の進化と四季の変化を最も感じていただける住まいを創造できたらと考え、導き出したコンセプトキーワードが「優雅」と「移ろい」です。進化していく街の変化に合わせるように、建物は料亭からレジデンスへと姿を変え、人生が優雅に進化していく舞台となっていく。街の移ろい、四季の移ろい、そして人生の移ろいと調和していく。そのような住まいをイメージし、設計にあたりました。外観デザインは、地域に馴染むようグレージュのタイルをベースとし、落ち着いた和のエッセンステイストを散りばめました。
建物は、植栽越しに奥ゆかしく。
松本
道路から建物までのアプローチはまっすぐにせず、あえてずらし、円弧を描くようにレイアウトしています。また建物を植栽の緑越しに見せることで、建物の全貌を見えにくくし、奥ゆかしさを表現しました。
今江
建物前面の緑地は、道路からは開いた空間となっていますが、視覚的に緑量を感じさせる植栽により、エントランスまでの経路を直接見通せないようにしています。部外者に心理的に入りにくい印象を与えることでしょう。また植栽と石との組み合わせにより、足元の結界性も意識しています。アプローチ内に特別感のある演出を狙ったこれらの工夫により、優雅な生活への入り口を感じていただけるのではないでしょうか。
四季の移ろいを楽しむ、3つの庭。
松本
本レジデンスは、アプローチのある前庭に加え、坪庭、中庭、3つの庭を設けています。エントランスから中庭へと続く回廊を意識した空間は、趣のある路地の通りをイメージしてデザインしました。エントランスを入ってすぐに視界に飛び込んでくる中庭の緑景は、近づくほどにその風景を広げていきます。
今江
一貫しているのは、建物の内と外において四季の移ろいを豊かに感じていただきたいという思いです。ラウンジについても日常的な動線から外し、エントランスホールの奥、中庭に面して独立して設けることで、ゲストの方と落ち着いて話すことができる特別感のある空間を意識しました。桜や紅葉、景石で設えた中庭の見えるラウンジは、四季を愛でながら優雅に憩う、そんな居場所になることと思います。
本件を検討されているみなさまへ。
松本
この邸をご検討されている方は、枚方に縁のある人が多いのではないでしょうか。昔過ごした枚方の思い出とともに、今後変わっていく枚方の姿が間近に見られる最前席ともいえるような場所で、ご家族と一緒に新たな時を過ごしていただければ嬉しく思います。
今江
本レジデンスは、四季の移ろいと調和していく住まいを目指し、ランドスケープをゆったりとつくっています。「あぁ、わが家に帰って来た」と安堵感を深く感じていただけるような癒しの住まいになることを願っています。